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インバウンド需要とホテル業界の将来

海外からの観光客増加により供給は追いつかないとされる日本のホテル需要。この需要がいつまで続くのか、投資家側の視点から、今後の展望を解説します。

外国人観光客の増加に合わせホテルは建設ラッシュ

現在、日本では外国人観光客が右肩上がりで増加しており、日本政府観光局(JNTO)の調査データによると2018年の年間訪日外客数は3,100万人を突破、2019年も1~10月ですでに2,700万人に迫る勢いになっています。

こうしたインバウンド需要に対し東京や大阪など大都市圏でのホテル・旅館の供給が追いつかなくなってきており、民泊という新しい宿泊スタイルが登場したり、ビジネスホテルからラグジュアリーホテルまで建設ラッシュが続いています。

外国人の観光客が増加した理由として考えられることは、円安により訪日旅行が安くなったことがあります。また外務省が特定の国に対してビザの緩和を実施したり、LCCと呼ばれる航空会社が普及したことも要因の一つとなっています。

ホテル投資が近年になって注目されるようになったのはこうしたホテル業界全体が活況になっているからとも言えます。不動産投資家としては今後もこのような傾向が続くのかどうか気になるところです。

【参考サイト】
「日本の観光統計データ」

ホテル業界の活況は今後も続くが物件の見極めは必要

ホテル業界が注目されている理由のひとつに、海外からの観光客が急増していることがあげられます。ですが、延々と訪日客が増え続けるわけではありません。国際的なイベントの終了で、徐々に訪日外国人が減少してホテル業界は厳しくなるのではと心配する人もいます。

ただし、イベントだけではなく外国人観光客が増加したのはその他の理由の方が大きいと考えられています。日本の認知度が上がりさらに増加するという見方もできます。

ただ将来も無限に増え続けるというのは考えにくいですし、ホテルの建設ラッシュが一段落して供給が追いつけば各ホテルの売上増加率も鈍くなることは考えられます。供給が過剰になれば倒産するホテルも出てくるかもしれません。

そのためホテル投資においては、景気動向や一時の流行にあまり影響を受けない高付加価値の物件を選ぶことが重要になると考えられます。ホテル業界全体はしばらく活況は続くと予想されますが、物件の選定力は今のうちに身につけておくと安心です。

新型コロナウィルス流行におけるホテル業界への打撃

2020年1月下旬から本格化し始めた新型コロナウィルスの流行は、世界中の経済に悪影響を及ぼしています。東京を始めとした日本国内も経済への打撃が深刻。

中でも観光業が大きな収入源となっている地域では、2月の時点で、早くも旅行関係業者の倒産が報じられるようになりました。

ホテル業界も例外ではなく、インバウンド需要を見込んで宿泊客確保に動いていた矢先にコロナショックが直撃し、「3月以降の予約が相次いでキャンセルに」という事態が引き起こされたのです。

中には50%を超える宿泊料の割引や、人員削減、そしてレストランなどの関連業務の強化など、考えうるアイディアを駆使し、多くのホテルが存続のために奮闘しています。

国内では「感染者が減少傾向にある」という明るい話題もありますが、第二波、第三波への懸念も残されているため、楽観視はできません。

アフターコロナで需要がどれだけ回復するのか

インバウンド需要

2020年2月に観光庁が発表したデータによると、前年の訪日外国人旅行者数は3,188万人に上り、消費額は4兆円を超えたと産出されています。

一方、新型コロナウィルスの流行で外国人旅行者数が激減した2020年においては、これらの数値の大幅な下落が避けられない見通しです。

インバウンド需要がいつ、どれだけ回復するのかは、まだ誰にもわかりません。元凶である新型コロナウィルスの流行が鎮静化に向かえば、将来的な回復は見込めることでしょう。

国内のホテル業界は、今のうちに需要回復を見据え『withコロナ時代』を生き抜く対策、具体的には「宿泊客が安心して滞在できる環境づくり」を整備する必要があります。

国内需要

ホテルに宿泊するのは、外国人旅行客に限りません。特に少子高齢化が進む日本では「海外旅行は億劫だけど、国内なら」というシニア層も、重要なターゲットとして無視できない存在です。

またコロナ禍の渦中にあった2020年のゴールデンウイークには「せっかくの連休なのに、どこへも出かけられなかった…」という人が数多くいました。

緊急事態宣言は解除されましたが、海外渡航に関しては2020年6月時点で解禁されていないため、「海外よりも国内で旅行を楽しもう」と考える層も増加していくことが予想されます。

インバウンド需要だけに頼らず、宿泊客の比率をコントロールしてきた老舗ホテルの中には、今回の苦境においても運営を維持している事例が、少なからず存在しています。こうした成功例を参考に、国内需要の掘り起こし、そしてサービスの見直しを図っていくことが、事業存続への有効な一手となりそうです。

マイクロツーリズム

コロナショックを機に注目され始めたのが『マイクロツーリズム』です。自宅から1時間程度の範囲にある見どころを観光し、再発見するというミニマルな旅行形態を指しています。

移動に伴う過度な接触を避けられるほか、エリア外への感染拡大を防止するという意味でも、効果的なレジャー法と言えるでしょう。

マイクロツーリズムを実践する人の多くは宿泊を検討しないため「直接の利益には繋がらない」と考えるホテル業関係者がいるかもしれません。しかし施設内外に観光名所となるスポットを設置できれば「付随する物販や外食業などで利益を上げる」という展開も可能となります。不振を少しでも盛り返す手法の一つとして、検討して損はないでしょう。

コロナにおけるホテルの倒産事例

新型コロナウイルスの影響で営業を継続することができなくなった企業をピックアップしています。老舗旅館や地域に根差した宿泊施設なども、今回の影響を大きく受ける結果となりました。

2020年2月

愛知県蒲郡市 (株)冨士見荘

2月21日までに事業停止および、名古屋地裁豊橋支部へ破産申請を行ないました。

新型コロナウイルスの影響で、中国などからの団体ツアーが相次いでキャンセルされたことが原因です。先行きの見通しが不明となり、事業継続を断念することになりました。

2020年3月

茨城県潮来市 (株)富士屋ホテル

3月30日に、水戸地裁麻生支部に破産を申請しました。茨城県では初の新型コロナウイルス関連倒産となりました。

福島県猪苗代町 有限会社田村屋旅館

3月6日、福島地裁会津若松支部へ民事再生法の適用を申請しました。

老舗旅館であり、震災や原発事故の風評被害対策にも尽力していましたが、暖冬によるスキー客が減少したこととコロナウイルスの影響で経営が立ちいかなくなりました。

2020年4月

滋賀県大津市 (株)ロイヤルオークリゾート

4月28日に事業を停止および、大津地裁へ自己破産を申請しました。リゾートホテルのロイヤルオークホテルスパ&ガーデンズを経営していました。

福島県二本松市 (有)泉屋旅館

櫟平(くぬぎだいら)ホテルを運営していましたが、4月24日に福島地裁から破産開始決定を受けました。

新型コロナウイルスの影響で利用客が激減し、従業員全員が解雇されています。

2020年5月

大分県日田市 (有)リバーサイドホテル山水

5月15日に、大分地裁日田支部に破産を申請しました。大分県では初めて新型コロナウイルス関連での倒産となっています。

長野県佐久市 ホテル一萬里(株)

5月4日に事業を停止し、破産手続きを弁護士に一任しています。長野県佐久市で2番目に規模が大きい、「佐久一萬里温泉・ホテルゴールデンセンチュリー」を経営していました。

2020年6月

大阪市北区 (株)ホワイト・ベアーファミリー

6月30日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請しました。同日に、開始決定および監督命令を受けています。

また、関連のWBFホールディングス(株)も同様です。

三重県鈴鹿市 北海観光(有)

6月5日に、津地裁より破産開始決定を受けています。新型コロナウイルスの影響による外出自粛によって、資金繰りが悪化したことが原因となりました。

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