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介護サービスが受けられる高齢者向けの賃貸住宅(サ高住)。サ高住の経営方式やメリット・デメリット、サ高住で土地活用を成功させるポイントなどをご紹介します。
「サービス付き高齢者向け住宅」のことで、バリアフリーに対応した賃貸住宅です。サ高住は「高齢者住まい法」の改正で誕生した住居であり、介護サービスを行う老人ホームとは違い、介護を必要としない高齢者が入居します。
賃貸のため自由度が高く、その一方で、日常生活での困りごとや問題などは、常駐スタッフに相談できたり、サポートしてくれたりと、高齢者の不安を軽減させるサービスが充実している点が魅力です。
サ高住を建てた後、約20〜30年ほど事業者に貸し出す経営方式です。借主である事業者から賃料を受け取りますが、経営や設備の管理も事業者が代行してくれるため、オーナーの仕事はほとんどなく、長期的に安定した収入を得られます。ただ、手数料として、賃料の20%程度を事業者に支払う必要があります。
介護サービスを外部の事業者に委託し、入居者募集や契約などの業務を自分で行う経営方式です。入居者からもらう賃料に加え、委託事業者からもテナント料として収入が得られる点が特徴です。
一括借り上げ方式より高い利益が得られる分、集客などを自分で行わなければならないという手間や、空室率が下がると比例して利益率も低くなるというリスクもあります。
そうした手間やリスクがある一方で、近年の少子高齢化問題により、サ高住自体の需要は伸びているため、空室のリスクもある程度は抑えられると考えられます。
テナント方式と類似しており、介護サービスを外部事業者に委託し、入居者の募集や契約、建物の管理などはオーナーが行う経営方式です。入居者からの賃料のほか、介護サービスで発生するサービス料が収益となりますが、委託先の介護業者に手数料を支払う必要があります。
資産相続においては、現金による相続より、不動産で相続する方が相続税の課税評価額が低くなります。そのため、サ高住を建築すると、相続税の節税につながります。
サ高住を建てる際に受けられる補助金は、建築費用の10%です。また、国や自治体からの支援も受けられるため、うまく活用することで建築コストを抑えられます。
サ高住は、有料老人ホームや特別養護老人ホームの代替施設としても、需要が高まってきています。サ高住の開設から2年程度は、受け入れ体制を整えるため、入居率は低くなる傾向にありますが、その後の入居率は約90%と非常に高くなっています。
補助金や支援制度を利用したとしても、初期投資の額は決して安くありません。高齢者の生活に対応するためのバリアフリー化や必要な設備を整えるとなると、定員20名ほどの施設を建てる場合でも、2〜3億円程度の費用がかかります。一般的なマンションやアパートに比べ、建築コストはかなり大きくなる点に注意が必要です。
安定的に利益を得られる点は魅力ですが、高齢者を相手にするため、転倒によるケガや事故などの大きなリスクがあることも留意しておきましょう。
また、入居者同士のトラブルなど、さまざまなリスクを考慮し、対応を考えておく必要があります。
サ高住は高齢者向けに設計されているため、一般の賃貸物件として転用しにくいというデメリットがあります。共用部分も特殊な構造になっており、高齢者以外の人が住む際には住みづらく感じる部分もあります。改修工事をするにしても、ざっと数千万程度の費用がかかるため、サ高住を建てる際には、その辺りのことも検討する必要があるでしょう。
介護事業者と提携したり、事業所を併設したりする場合は、事業者選びを慎重に行うことが大切です。サ高住は「安心して住める終の住処」と考える人が多く、入居率の良し悪しは介護サービスの質が決め手となるといっても過言ではありません。トラブルを回避するためにも、委託先を選ぶ際には、評判の良い実績のあるところがおすすめです。