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こちらでは、ホテル投資における2022年の動向に関して、シンクタンク各社の予測やデータレポートを業者ごとに取りまとめてご紹介していきたいと思います。
不動産開発投資に関しては、ディベロッパー向け融資規制を背景とした減少基調が続いており、2022年前半もその傾向が続くと予測。しかし関連ローンには改善の兆しがあり、年内の半ば頃には投資の下げ止まりを予測。
また製造業投資に関してはハイテク分野などによる堅調な企業収益に支えられており、安定的に推移すると予測されています。
「日本経済:個人消費は回復に向かうも、感染第6波や物価上昇が下押し要因に」
2021年の10月~12月期以降の個人消費は、制限緩和を背景に対人サービス消費――外食・旅行・娯楽等を中心に回復傾向が見られました。外出機会の増加に伴い、衣料品の販売も持ち直し傾向が見られました。
ただし、感染第6波の影響や食品物価の高騰といった要素により、た購買意欲を下押しし、財消費の伸びは鈍化するという予測がなされています。
参照元:2022年新春経済見通し
https://www.mizuho-fg.co.jp/company/activity/onethinktank/pdf/vol027.pdf
野村不動産では法人営業本部 CRE情報部が2021年12月21日付で、不動産投資に関する調査を発表。投資物件の収益性を評価する際の指標の一つとして知られるキャップレート(期待利回り)の動向を、オフィスビルや賃貸住宅などの投資物件ごとに紹介しています。
ホテル分野に関しては、東京、札幌、京都、大阪、那覇では2021年4月と10月の調査で、キャップレートは横ばいという結果が見られたものの、仙台、名古屋、福岡のエリアでは、それぞれ前回を下回るという結果になった旨が報告されています。
参照元:キャップレートの動向 ~最新の不動産投資家調査より~
https://www.nomu.com/pro/report/market/nre_20211201.html
同社が運営する24のホテルに関する、2020年1月から2021年7月までの約1年半の期間における、月ごとのデータを公開。コロナ禍が始まった、2020年1月から3月にかけて稼働率は右肩下がりとなり、2020年4月から5月にかけての緊急事態宣言下では最低レベルに。その後、2020年7月からのGo To トラベルキャンペーンによって持ち直すものの、2021年1月からの緊急事態宣言・まん延防止等重点措置によって、2021年7月までは再び稼働率低下に直面しています。
ホテル運営を改善し、ホテル売上の向上を⽬指すため、同グループではホテルのオペレーター変更、リブランド、アップグレード等を通じてホテル運営を改善。コスト構造を⾒直し、収益体制を改善。効率的な運営を通じて、GOP最⼤化を⽬指すとしており、リブランド時の賃料負担率の引き上げ等を通じて、本投資法人が収受する賃料の増加を図るとしています。
参照元:決算説明資料
https://www.jhrth.co.jp/file/term-af7df73a5520a58a4b030bf58d12308ae65078f7.pdf
生命保険大手のニッセイ傘下のシンクタンク、ニッセイ基礎研究所によれば、2021年7月、8月はオリンピック・パラリンピックにより多少持ち直したものの、ホテルの宿泊需要の減少は継続傾向。しかし、オックスフォード・エコノミクスの予測によると、2022年以降は国内旅行客が市場をけん引し、近い将来に国内市場が回復を始めると予測。訪日外国人客数は低調が続くが、代わりに平常時なら海外旅行を好んだ層が国内旅行を選ぶ可能性が高まり、国内旅行者数が積み上がるはずとしています。
参照元:ニッセイ基礎研究所 コラム
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=68854?site=nli
コロナ禍における不動産市場において、ホテルセクターは最もネガティブな影響を受けたセクターであるものの、大阪の投資市場においては、ホテルセクターは堅調に推移しているという事例が紹介されています。
2021年の第1-3四半期において、大阪におけるホテルセクターの投資額は830億円にのぼっているとのこと。コロナ禍の2020年も2012年以降最多の1,120億円に迫るペースで投資が行われているのだそうです。2021年(第1-3四半期)の大阪全体の投資額に占めるホテルセクターの割合は17%になっており、2012年以降で最も高くなっているのだそうです。
2016年以降、インバウンドの増加が本格化しホテルセクターへの投資額の増加とともに存在感が高まってきていましたが、コロナ禍によって、減少傾向になると思いきや、逆に勢いが増しているという意外な結果をもたらしているそうです。
参照元:JLL公式サイト 記事
https://www.joneslanglasalle.co.jp/ja/trends-and-insights/investor/hotels-sector-becoming-attractive-in-osaka-investment-market
森トラストでは同社が運営する「シャングリ・ラ」、「コートヤード東京」、「ヒルトン小田原」、「コートヤード新大阪」の4ホテルについて、2021年の状況を公開。都市型ホテルの 3 物件(シャングリ・ラ、コートヤード東京及びコートヤード新大阪)については、2021年 9 月 30 日の緊急事態宣言解除後の 10 月以降、国内旅行者の増加を受けて稼働率が緩やかな上昇傾向にあり、ホテル業績は改善傾向にあるとしています。
また、ヒルトン小田原においては、首都圏近接のリゾートホテルという特性により、引き続きコロナ禍におけるニーズを掴んでおり、宿泊部門は好調に推移しているとのこと。とりわけ2021 年 8 月は、東京都に緊急事態宣言が発出されていた状況だったものの、夏休みのレジャー需要の獲得に成功し、東京発着以外の GoTo トラベルが開始され、その特需が見られ始めた昨年の 2020 年 8 月と比較しても、同水準の売上総額を獲得したそうです。
参照元:森トラスト 2022 年 2 月期の運用状況の予想の修正に関するお知らせ
http://www.mt-hotelreit.jp/file/news-137a22957d59f2be254467d0c616e0076d827bf2.pdf
2012年以降、上昇トレンドで推移してきた国内のホテル需要は、コロナ・ショックを契機に大幅に減少している旨を紹介。2020年の日本人の宿泊者数は2019年比40%の減少。外国人の宿泊者数は、2019年比で84%の減少という数字が紹介されています。
そうした厳しい実情の反面、東京におけるホテル需要は、ワクチン接種の加速によって、回復が見込めるとの見通しが紹介されています。ただし、このレポートは2021年10月1日付のものであり、オミクロン株の流行前に発表されたものであることに留意が必要です。
参照元:「ワクチン普及効果でホテルはV字回復するのか?」
https://www.tanikan.co.jp/wp-content/uploads/2021/10/AnalystReport_03.pdf