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事業用不動産サービスを提供するシービーアールイー株式会社(CBRE)が、2023年第3四半期(Q3)の日本投資市場動向における事業用不動産投資額に関する調査データを2023年11月7日に発表しました。ここでは、調査結果から各セクションについて解説します。
2023年第3四半期(Q3)におけるホテルへの投資額は1950億円で、前年同期の約3.5倍となりました。世界的な感染症の流行が落ち着いたことで、国内外問わず観光客が増加。需要を見込んで新規ホテルの開業や既存ホテルの改装が目立った結果であると言えます。ホテル投資額の75%はJ-REITによる取得で、J-REITによるホテル投資額としては過去の四半期ベースで最高額となりました。今後もホテル需要の増加により投資家の期待値は大きく、投資額もさらに上回ると予想されています。
海外投資家による投資額は、ホテル取得額全体の47%を占めました。インバウンド需要が増加した事による日本ホテルへの期待が大きくなった結果だと言えます。今後も100億円を超える大型案件が複数控えていることから、CBREは2023年度全体のホテル投資額は、コロナ禍前の2019年を上回る可能性が高いと見込んでいます。ただし投資家間の競争も激化しており、取得時の利回りに関しては低下傾向にあります。
地方都市におけるオフィス期待利回りは、主要都市の全てで過去最低値を更新しました。在宅勤務の増加に伴うオフィス設備の縮小や、オンライン化が増えオフィスの分散によるものと考えられます。
全セクションの中で最も投資額が大きかったものは商業施設で、前年同期比で111%増加の3,210億円となりました。これまで外出や購買を控えていたものが、今後増加すると見込んでの結果となっています。現に、商業施設における売上高も世界的な感染症が流行する前の水準に戻りつつあります。
また、CBREが四半期毎に実施している「期待利回りに関する投資家アンケート調査」において、東京の期待利回りはオフィス(大手町)と商業施設(路面店、銀座中央通り)が前期からほぼ変わらない水準である一方、他のセクションでは低下し調査開始以来の最低値を更新しました。地方都市のオフィス期待利回りも、主要都市の全てで前期から低下し最低値を更新しました。