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※本記事は、「PR TIMES (https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000487.000006263.html)の内容を参考に作成しています。
2022年も下半期を迎え、これからのホテル投資について考えるためにも上半期のホテル投資について振り返ってみましょう。有識者の見解や国別の動向についてまとめているため、今後のホテル投資の参考にしてください。
米国に本社を持つ総合不動産サービス大手のJLLの調査によれば、アジア太平洋地域における2022年上半期のホテル投資額は前年同期に比べて33%増の68億米ドルとなりました。2019年と比べると11.9%増加しており、情勢の変化でホテル投資が厳しい局面を迎える以前の水準を超える結果となっています。
2022年上半期のホテル投資件数はというと、前年同期比から20.2%減の75件、2019年比だと33%減という結果に。投資件数は減っているものの、取引客室数は前年同期比29.9%増の19,822件、2019年比では9.4%増と増加しています。
客室数が増加した背景としては、効率的な投資先を模索していた機関投資家によるポートフォリオ取引(複数物件の取引)の急増が影響しているとのこと。一方で調査を行なったJLLによると、2022年下半期にマクロ経済や地政学的な逆風が強まることになれば、現在の相場の勢いが停滞する可能性もあると見ています。
JLL日本の執行役員でホテルズ&ホスピタリティ事業部長を務める辻川氏によれば、情勢の変化でレジャーの宿泊需要は一時減退したものの、アジア太平洋地域でのホスピタリティ産業の回復力や出入国の再開によって旅行需要は近いうちに以前の水準にまで戻るだろうとのこと。
日本国内の宿泊需要も回復基調にあり、アジア太平洋地域における日本の投資先としての位置づけも改めて高まっていることから、2022年下半期でも回復トレンドが継続すると見込んでいます。
2022年上半期におけるアジア太平洋地域での投資額を国別に見ると、日本が最も多い18億米ドル、続いて韓国が17億米ドル、香港を含む中国は16億米ドルとなっています。そのほかの国ではシンガポールが8億9,970万米ドル、モルディブは2億550万米ドル、インドネシアが1億5,960万米ドル、と堅実な回復を見せる結果に。
また、オーストラリアは1億4,550万米ドル、タイは3,770万米ドル、と投資活動としては軟調な動きを見せていますが、一方で多くの大型取引が進行中なことから下半期では回復基調になると推測されます。それぞれの国の動向について、さらに詳しく見ていきましょう。
日本のホテル投資市場は堅固な回復を見せており、投資額は前年同期と比べて91%増となっています。投資家による日本のホテル投資が堅調に推移している理由としては、直近の円安や国内外の旺盛な観光需要があげられるでしょう。世界的に金利が上昇しているなかでの日本のデットファイナンス(資金調達)環境は海外の投資家にとって魅力的なことから、国内のホテル投資額は下半期においても堅調に推移すると予測されます。
2022年上半期のオーストラリアのホテル投資額は、前年同期比66%減と低い水準にとどまる結果となりました。ただ、約7億米ドルの未完了取引があるほか、投資家にとっても質への投資戦略としてオーストラリアやニュージーランドのホテル投資に意欲的な姿勢を見せていることから、年内の投資額が回復基調へと推移することが予測されます。
国内の多くの都市がロックダウンし、ホテル投資も2022年第四半期や2023年第1四半期にずれる見込みなことから、投資額は前年同期から43.8%減少する結果となりました。また、国内の政策や不動産会社への債務規制といった複合的な影響によってホテル資産の価格はさらに低下すると見られており、2022年の投資額は約20億米ドルになると予測されています。
アジア太平洋地域で最初に渡航制限が解除された国の1つで、ホテル投資の回復も最も早かったシンガポール。2022年上半期の投資額は、2019年の水準を超える約9億米ドルとなりました。投資先としては中規模物件が最も活発で、投資家は物件を共同住宅に転換することでパフォーマンスの向上を図っています。
国内の売り手に対する売却圧力が高まっており、多くのホテル案件が市場で確認されるようになっています。買い手側は投資機会を積極的に探しているものの、リスクの大きい価格設定がされていることから、物件へのオファーはより保守的になっているようです。渡航制限の緩和によって国外からの関心が高まりを見せており、タイのホテル市場に多くのプライベートエクイティファンドやファミリーオフィスが進出。2022年度の投資額は約3億米ドル近くに達すると予測されています。
アジアからの需要が減少したものの、2021年度の投資活動は2019年を上回っており、リゾート地としての市場の回復力を示す結果となりました。市場の回復は2022年に入っても引き続き継続しており、アジアをはじめ、中東やヨーロッパの投資家からも関心を寄せられているとのこと。注目度の高い案件や下半期に向けて進行中の案件もあることから、2022年度の投資額も増加すると見られています。