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メディカルツーリズムにおけるホテル投資

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医療観光としての
メディカルツーリズムにおけるホテル投資

メディカルツーリズムは、国内もしくは海外に治療を目的に行う旅行のことです。ホテルなどに宿泊しながら、健診や治療を受けることで、日常生活で感じるストレスも軽減させながら取り組むことができます。各ホテルでも独自の取り組みを行っています。

医療ツーリズムとは?

医療ツーリズムとは、自国より医療水準が優れている国で治療や健診などの医療を受け、またその国の観光も兼ねていることに特徴があります。渡航目的が「医療を受けること」と定義されています。観光はあくまでついでに行うという点が特徴。医療ツーリストの多くは富裕層で、長期的な滞在となることがほとんどです。

医療ツーリズムの目的

世界的にも医療水準が高いと言われている日本において、医療ツーリズムは潜在需要が高い傾向にあり、今後の成長市場として注目を集めています。

人によっては、医療ツーリズムを活用する目的が異なります。

「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」とは

2023年5月30日、観光立国推進閣僚会議の第20回会合を開催し、「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」を決定しました。これまでは、外国人観光客を呼び込むことを目的としていましたが、インバウンド需要をより大きく効果的に根付かせるという方策を取ることとしました。

このプランは、「ビジネス分野」、「教育・研究分野」、「文化芸術・スポーツ・自然分野」の3つの分野を柱として合計約80の施策でインバウンドの着実な拡大を図ります。

医療ツーリズムの市場規模と成長予測

医療ツーリズムは、日本だけではなく世界中で注目を集め、現在も市場規模は確実に大きくなっています。世界・日本それぞれで、医療ツーリズムが注目され拡大していく背景や、今後の展望を見ていきます。

世界規模で成長している市場

現在の、世界全体の医療ツーリズムの市場規模は約14兆円です。今後、2028年には現在の3倍以上となる約48兆円にまで拡大すると考えられています。人数にすると、毎年1,400万人が医療ツーリズムで国外に渡航すると推定されているのです。

基本的に、国が経済成長をするほど感染症による死因が減少しても、その代わりに癌や生活習慣病で死亡することが多くなります。生活習慣病の患者が増えることで、関心は予防医療やがん治療などに向いていきます。結果、国の経済は成長はしているが、医療レベルがまだ低水準だという国を中心に、観光と合わせて高度な健康診断や治療を受けるため国外へ行く人が増えると想定されているのです。

日本が注目されている理由

日本は男女ともに平均寿命が世界でも高水準で、特に女性の平均寿命においては、ほかの先進諸国に比べ軒並み長くなっています。これは、高い医療技術を国民全体が平等に受けることができるからです。

例えば、アメリカでは最先端の医療を提供していますが、保険制度が手厚くないため、医療費を支払える財力のある富裕層しか高度な医療を受けることができません。ヨーロッパでは、医療技術、保険制度共に整っている国もありますが、治療までに要する時間が長くなることが多くあります。

つまり、日本と同様に高い医療技術を持つ国もありますが、患者さんの財力に関係なく、高い医療技術をスピーディーに提供できる環境が日本には整っており、海外からの医療ツーリストはそこに価値を感じ、一定の費用をかけてでも日本で医療を受けたいと考える可能性が高いのです。

各国の医療ツーリズムの取り組み

タイの取り組み

タイは言わずと知れた観光大国ですが、昨今は国をあげて医療サービスの強化に取り組んでいます。2002年に国民医療保障制度が施行され、被保険者は事前に登録した医療機関であれば、本人負担30バーツ(2024年6月時点での日本円換算で約130円)、低所得者であれば無料で診察を受けることができるようになりました。2004年、タイ政府は「タイをアジアの医療拠点として開発する」ことを掲げ、そのための5ヵ年計画を策定し、メディカル・ツーリズムを国家的な戦略として打ち出しています。

韓国の取り組み

韓国は、コロナ禍前から政府主導で医療ツーリズム振興に取り組んでおり、最新の医療機器、IT医療技術、美容整形技術、韓国の漢方を使った伝統医学である韓方などで、外国人患者を多く取り込んできました。他国と同様、コロナ禍で医療ツーリズムは大きな影響を受けましたが、コロナ感染症が落ち着いてきた今、改めて需要が拡大しています。

また、韓国観光公社では、ソウル、仁川、釜山の4都市に医療ツーリズムの案内センターを設置しています。仁川においては、「メディカルツーリズム・サポートセンター」を空港内に設置し、医療ツーリズム目的で韓国に訪れた観光客に向けて、ソウルのクリニックや人間ドックの案内パンフレットの配布やその場での医療相談も可能。江南区には医療ツーリズム案内のためのカンナム・メディカル・ツアー・センターが設置されています。

この施設は、2013年にオープンした施設ですが、コロナ禍中の休業を経て、2023年6月に面積を拡張して改装オープンしました。施設内では、英語、中国語、日本語、ロシア語での対応が可能で、外国人患者向けのサービスを提供。さらに、無料で肌診断、体成分分析、頭皮ケア、ドライアイ治療などの先端医療技術の体験ができるコーナーも設けています。

シンガポールの取り組み

シンガポールでは、他国との差別化を図るため富裕層向けの高級医療ツーリズムを推奨しています。

例えば、最も高額な病室では、1泊で1万5,793シンガポールドル(約170万円)です。主寝室のほかに応接間としてのリビングルームや、患者が本国から連れてきた医師や護衛が泊まれる部屋も備えています。この病室は3部屋あり、稼働率は約20%ほどだそうです。

さらにシンガポールでは、外交として医療を活用しています。シンガポール政府は2023年秋に、インドネシアの実力者、ルフット調整相を治療で招待するなど、アジア各国の政治家の訪問も多くなっているのです。

医療ツーリズムがホテル投資に与える影響

医療ツーリズムで必ず必要になるのが、拠点となる宿泊施設です。宿泊施設への投資は、今後どのようになっていくのか見ていきたいと思います。

富裕層の観光客増

医療技術で高水準を誇る日本へは、アジア各国から医療ツーリズムで訪れる富裕層が増加しています。検診の前後に、有名シェフが経営するレストランで地産地消の食事や、有名温泉での宿泊などをセットにした医療ツーリズムのプラン料金の相場は、約50万円と設定されています。

長期滞在の観光客増

日本には、江戸時代から温泉地に長期間滞在して、疾病を温泉療養で癒やす「湯治」という文化があります。日本以外の国でも、スパでの温泉療法が古くから存在します。そのため、療養には長期間かけるという考えもあります。人間ドックや検診を受けて終わりではなく、ストレス解消を目的とした長期にわたる観光や食事での医療ツーリズムも、今後増加すると考えられるでしょう。

医療ツーリズムによってインバウンド需要に期待

医療ツーリズムは、今後途上国を中心に注目され、医療で高水準を誇っている日本においても療養を目的とした観光客が増加する見込みです。その拠点となるホテルは、専用のプランを用意するなど対策を始めています。ホテル投資するにあたり、医療ツーリズムの利用を考えての投資先選定も良いのではないでしょうか。

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