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コロナ禍で利用客が減少したホテル業界では、集客のために経営の変化が求められています。ここでは、コロナ禍のホテル集客の現状や課題、集客のための戦略やトレンドについてまとめました。
コロナ禍において深刻な打撃を受けた業界の1つが、宿泊関連業です。観光・宿泊需要が急激に減退し、大手旅行会社の2020年4月・5月の予約人員は国内外・訪日旅行を含めて取り扱いがゼロに近い状況にまで影響が及びました。
GoToトラベル事業などで国内旅行需要は一時回復したものの、感染拡大や緊急事態宣言などで再び需要が減少。一方で、厳しい局面を乗り切ろうと、テレワークプランやワーケーション、医療従事者を対象とした施設の無料宿泊または大幅割引キャンペーンなど、全国各地の宿泊施設で独自の取り組みが行なわれました。
また、観光・宿泊需要の回復を見据えて設備の点検や補修を実施し、施設のバリューアップ・イメージアップを図る動きも多くの施設で見られています。
宿泊施設のなかでもコロナ禍で特に打撃を受けたのが、団体客やインバウンド客への依存度が高かった宿泊特化型施設です。コロナ禍によって落ち込んだ収益性を改善するためには、団体客から個人旅行客の獲得へと経営環境を変化させていく必要があります。
コロナ禍でホテルや旅館宿を利用するニーズも変化しており、これまでは観光目的だったのが、テレワークの普及によって自宅とは異なる場所で仕事しながら自分の時間も確保する「ワーケーション(Work+Vacation)」の需要が拡大。ワーケーションの普及によって新たな旅行市場の拡大も期待され、ホテル・旅館宿側も需要の変化を踏まえた経営の変革が求められています。
コロナ禍で外出自粛を求められたこともあって収束後の旅行意欲が高まっており、そのなかでも交通機関を利用しない自家用車での旅行や密にならないオフシーズン・観光地を選択するなど、感染予防を重視する人が増えています。ホテルにおいても、安心して宿泊できる施設であることのアピール材料となる取り組みが、今後の集客戦略において重要になってくると言えるでしょう。
たとえば、ルームキーの受け渡しや精算などは手持ちのスマートフォンで対応できるシステム・ツールに切り替えたり、衛生管理がしっかりとされていることが分かるように手順を見える化したりなどが考えられます。また、ビジネス層の取り込みを狙うなら、テレワークやネット会議を快適にする環境の整備や効率的な空間づくりを検討すると良いでしょう。
旅行需要の回復を見据えたマーケティング対策として、ホテルの認知度を今のうちに高めておくことも重要です。ホテルの集客方法にはトレンドがあり、たとえばTwitterやInstagramなどのSNSを活用した集客は、若い世代へのアプローチに適しています。Instagramは写真や動画で視覚的に訴求することに優れており、写真映えするホテルとアピールできれば、SNSを活用する若年層の集客を期待できるでしょう。
拡散力についてはテキストメディアのTwitterが適しているため、それぞれのSNSの特性を上手く活用することでホテルの集客につなげられます。
そのほかのトレンドとしては、インバウンド需要が減ったことで国内顧客を囲い込む「CRM」が注目されています。CRMは顧客関係管理を意味する言葉で、ホテルの集客においては過去の宿泊記録や利用客からの要望を参考に最適な提案をしながら、顧客との密接な関係づくりを目指す仕組みです。
また、自社予約サイトからの予約率向上も、利益率の最大化を目指すうえで必要な施策になります。SNSと連動させれば自社予約サイトへの呼び込み効果を期待でき、ネット検索で上位表示されやすくするSEOに取り組むのも集客方法として有効です。