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スポーツツーリズムは、観光とスポーツを融合させた新しい旅行形態であり、ホテル業界にも大きな影響を与える可能性を秘めています。
スポーツツーリズムとは、観光とスポーツを組み合わせた旅行形態で、観光客がスポーツイベントやアクティビティを楽しむために訪れることを指します。この形態の旅行は、健康志向やスポーツへの関心の高まりとともに急速に普及中です。スポーツツーリズムは、単にスポーツイベントを見るだけでなく、自身がスポーツに参加するアクティブな旅行も含まれます。
スポーツツーリズムは国土交通省観光庁が掲げる「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」にも含まれており、政府や自治体が積極的に推進しています。このプランでは、地域のスポーツ資源を活用した観光促進策が強調されており、地方経済の活性化にも寄与すると考えられた施策です。例えば、自然豊かな地域でのトレイルランニングやサイクリングイベントは、地元の特産品や文化を発信する絶好の機会となるでしょう。
スポーツツーリズムの拡大により観光地やホテル業界には新たなビジネスチャンスが広がります。スポーツイベントに合わせた特別プランの提供や、スポーツ施設の整備、アスリート向けのサービス提供など、多様なニーズに応えることで競争力を高められることは間違いありません。
※参照元:国土交通省観光庁:『新時代のインバウンド拡大アクションプラン』の決定について 【PDF】(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001612101.pdf)
オリンピックやワールドカップは、開催国や都市に大規模な観光需要をもたらします。これらのイベントは観客だけでなく、選手団や関係者も含めて多くの人々が訪れ、地域の経済を活性化させるためです。多くの国がオリンピックの開催地へ立候補しアピールするのは、そういった恩恵を受けるためでもあります。
東京マラソンやホノルルマラソンは、毎年多くのランナーとその家族・友人が訪れます。これらのイベントは、単なるスポーツ大会にとどまらず、観光と結びついた総合的なイベントとして位置付けられています。定着したイベントとなれば、大きな観光利益につながるでしょう。
北海道のニセコは、スキーリゾートとして世界的に有名で、多くの外国人観光客が訪れます。ニセコバブルとも呼ばれ、2024年の冬には「ニセコはカツ丼が3000円」といったニュースが流れました。それだけ多くの外国人観光客が訪れ、街が急激なインフレを起こすほどだったと分かります。
また、沖縄のサーフィンスポットや、富士山周辺の登山道もスポーツツーリズムの一環として人気があり、スポーツに特化した観光地として定着しつつあります。
スポーツツーリズムは、地域経済に大きな影響を与える可能性があります。まず、観光客の増加による宿泊施設の稼働率が向上。スポーツイベントに合わせた特別パッケージや、選手向けの特別プランを提供することで、ホテルの収益増加が見込めるでしょう。
また、スポーツツーリズムは地域の商業活動を活性化させる点も魅力です。観光客が地元のレストランやショップを利用することで、売上が増加し、地元経済が潤います。さらに、スポーツイベントの開催に伴うインフラ整備や、関連産業の発展も期待されます。
具体的な数字を挙げると、例えば2024年の東京マラソンでは、国内外から約36,000名のランナーが参加し、東京都の経済波及効果は約375.7億円と試算されています。
※参照元:東京マラソン財団:東京マラソン2024は終了しました(https://www.marathon.tokyo/news/detail/news_003232.html)
※参照元:東京マラソン財団:東京マラソン2024(3月3日(日)開催)の経済波及効果について(https://www.marathon.tokyo/news/detail/news_003285.html)
スポーツツーリズムの市場は、世界的に急速に成長しています。REPORT OCEANのレポートによると、スポーツツーリズムの世界市場規模は2020年に323,390百万ドル(約45兆2,746億円)に達し、2027年まで年間成長率15%で拡大すると予測されています。これは、健康志向の高まりや、スポーツイベントの増加が主な要因となっているようです。
※参照元:PRTIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002744.000067400.html)
世界的には、スポーツツーリズムは主要な観光市場の一つとして位置付けられています。特に欧米諸国では、スポーツイベントに対する関心が高く、多くの観光客がスポーツを目的に旅行を計画している様子です。例えば、ツール・ド・フランスやスーパーボウルなどの大規模イベントは、毎年多くの観光客を引き寄せています。ツール・ド・フランスだけでも、年間約1,500万人の観客が訪れ、その経済効果は数十億ユーロに上るとされています。
※参照元:読売新聞(https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/feature/CO050392/20221103-OYTAT50009/)
日本でも、スポーツツーリズムの市場は拡大しています。政府は「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」を掲げ、スポーツツーリズムを促進。日本各地でのスポーツイベントの開催や、スポーツ施設の整備が進んでおり、観光客の受け入れ体制が強化されています。
スポーツツーリズムの特徴の一つは、訪問時期が予測しやすいことです。例えば、スノースポーツは冬季に集中するため、その時期に合わせた宿泊需要が見込まれます。また、特定のスポーツイベントの開催日程が事前に決まっているため、ホテル側も準備がしやすくなります。
スポーツツーリズムは、長期滞在を促進する要素もあります。例えば、登山やサーフィンなどのスポーツは、複数日にわたって楽しむことが多く、滞在期間が長くなる傾向にあります。このため、ホテル側は長期滞在客向けの特別プランやサービスを提供することで、収益の向上を図ることができるでしょう。
スポーツツーリズムは、今後のインバウンド需要の拡大に大きく寄与すると期待されています。この市場の成長により、ホテル投資も活発化し、新たなビジネスチャンスが生まれるでしょう。