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ブッキングカーブとは、宿泊当日までにどのくらい予約が入っているのか、売り上げ予想はどのくらいなのかを測るためのグラフです。
グラフは縦軸が稼働率、横軸が宿泊当日までの残り日数を示しており、予約推移の軌跡が弧を描くことからブッキングカーブと呼称されています。
当日までの予約状況をグラフ化することで予約状況を可視化させ、どのくらい客室が売れているのか(OCC)、どのくらいの客室単価なのか(ADR)、今後稼働率を上げる為の価格設定をどうしていくのかなどレベニューマネジメントに必要な基礎データがわかります。
ホテルの経営者は、日々の予約動向などから客室の販売価格を決定します。宿泊当日までに予約数が少なく稼働率が低い場合、価格を下げるなど稼働率を上げるための戦略や価格設定が必要ですが、数か月後の需要を予測し販売価格を設定することは非常に困難です。
そこで重要になるのが過去の予約データです。ブッキングカーブは過去の予約データから需要を予測し、宿泊当日までの最適な販売価格を提示してくれます。これにより客室が売れる為の価格設定が出来るので、客室の売れ残りを最小限に抑える事が可能となります。
ホテルの売上の事を考えると、当然稼働率100%を目指すべきです。価格設定を下げて客室単価を下げれば稼働率100%を達成することは可能でしょう。しかし、それでは稼働率が高くても収益自体はさほど良くはありません。
客室単価を上げたうえで稼働率100%を達成するためには多くの障害がありますが、その1つにキャンセルがあります。キャンセルが発生すると、その部屋は販売機会を損失することになり、ホテル全体の売上にも関わってきます。
多くのホテルでは、事前にキャンセルを見越して全部屋数よりも多くの予約を取っていることもあります。しかし、キャンセル分を見誤るとオーバーブッキングしてしまった、若しくは予想以上にキャンセルが出て稼働率が100%にならなかった等の問題も起こります。過去のデータから時期別にどのくらいのキャンセル数が出るかという大方の予測もブッキングカーブでは可能です。これによりキャンセル数を把握し、稼働率を維持するための戦略も立てやすくなります。
ブッキングカーブは過去の予約データから統計をとって数値を出しています。レベニューマネジメントツールと併せて使用することにより、収益目標と現在の状況との乖離も一目で判断できます。なので、特定の宿泊日までに残りの部屋数をどのくらいの価格で販売すればよいのかも容易に分かります。
経験豊富なベテランのホテル経営者であれば、長年の勘や自分の感覚を頼りに客室需要を予測出来ます。そして、それに伴う価格設定も容易にコントロールすることが可能でしょう。しかし、ホテルの経営者が変わる、ベテラン従業員が退職する際に、そのノウハウが組織から無くなる可能性があります。
ブッキングカーブは過去のデータに基づいて統計的な数値を導き出すので、人的なノウハウがなくとも誰でもレベニューマネジメントを扱えるようになります。過去のデータが多ければ多いほど統計の確率は上がりますので、まずはデータを集めることが大切になります。
レベニューマネジメントとは、『需要を予測することで適切な販売管理を行い、収益を最大化する』ことです。主に宿泊施設や航空業界などの業界において経営手法として用いられています。
ホテルの客室、飛行機の搭乗券など旅行業における販売商品は販売数が限定されているため、数を増やし販売数を多くするといった事が不可能であり、且つキャンセルが発生すれば収益は下がるといった特徴があります。そのため、あらかじめ予測した需要を元にホテルなら客室の販売価格、飛行機であれば航空券の販売価格を変動させて、利益を最大限獲得することが大切になってきます。
レベニューマネジメントでは、需要を正確に把握し予測することが特に重要です。同じ時期の予約状況やイベント等催し物の開催日前後の予約状況を正確に把握し、適切な価格設定で収益を最大化させるという意味では、過去のデータより統計的な数値を算出するブッキングカーブは有益なツールとなります。ブッキングカーブにより算出された予測データと実際のデータを比較し、次回以降のデータとして活用することも可能となります。