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ホテル業界動向2025

ポストコロナの回復が進むホテル業界では、2025年に新たなステージが幕を開けようとしています。国内外からの旅行需要はかつてない勢いで戻る一方、宿泊施設を取り巻く環境も大きく変化しています。ここでは、2025年のホテル業界の動向を分かりやすくまとめました。

2024年までの振り返り

まずは、ポストコロナ期の回復状況を把握するために、コロナ前と2023~2024年の動向を振り返ります。

コロナ前との比較

2019年を基準とした延べ宿泊者数は、2024年に6億5,028万人泊となり、コロナ前の水準を9.1%上回りました。しかし、客室稼働率は60.5%にとどまり、2019年比で2.2ポイント低いままです。供給過多や人手不足の影響が依然として色濃く残っています。

外資系ラグジュアリーホテルや都市部のシティホテルは70%台後半を維持していますが、旅館や地方のリゾートホテルは40~50%台にとどまり、都市部と地方で回復の差が鮮明になっています。

※参照:観光庁「宿泊旅行統計調査」【PDF】(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001867860.pdf)

前年(2023年)との比較

2024年の延べ宿泊者数は前年比5.3%増と堅調に推移しました。内訳を見ると、日本人宿泊客は前年比2.6%減少したものの、外国人宿泊客は38.9%増と大幅に増加し、インバウンド需要の回復が牽引役となりました。特に2023年の訪日外客数は約2,500万人に達し、10~12月期にはコロナ前の水準に回復しています。

政府の観光支援策やビザ緩和、国際便の復便が奏功し、都市部だけでなく地方にも回復の波が広がりつつあります。

宿泊施設の稼働率推移

全国平均の稼働率は前年から3.5ポイント改善し、60.5%となりました。施設タイプ別ではビジネスホテルやシティホテルが70%超、リゾートホテルが54.6%、旅館は36.8%です。東京都は76.3%と全国トップで、主要都市の需要の高さを示しています。

一方、地方では観光促進策や地域連携プランにより稼働率が上昇しているものの、都市間競争の激化により施設間の格差が顕在化しています。

円安の影響

2023年は円安の追い風を受け、インバウンド消費額が過去最高の5.3兆円に達しました。分析によると、円安が消費額を21ポイント押し上げ、宿泊日数要因が15ポイント寄与し、インバウンド消費全体を11ポイント増加させたとされています。

2024年も円安基調が続き、日本が割安に感じられたことで宿泊需要の底上げにつながりました。ただし、エネルギーコストや資材価格の上昇がホテル運営コストを押し上げる一因ともなっています。

2025年のホテルトレンド

ここからは、2025年に注目すべき最新トレンドをピックアップ!今後の戦略に役立つ視点を整理します。

ウェルネスの台頭

2025年は心身の健康を重視する旅がさらに注目され、ホテルでのウェルネスプログラムが一層充実します。スパや温泉を中心とした滞在パッケージの増加に加え、良質な睡眠をサポートする客室設計や、ヨガ・瞑想といったアクティビティを組み込んだ体験が人気を博しています。

また、長期滞在向けアパートメントホテルでは、広めの客室にキッチンや洗濯機を備え、「スロートラベル」を楽しむ旅に対応。滞在そのものをリセットや充電の機会と捉える旅行者にとって、ホテルが単なる宿泊施設以上の価値を提供する時代が到来しています。

本物志向の高まり

富裕層を中心に「Authentic Experience(本物志向)」への関心が高まり、地域文化や地元食材を取り入れた滞在が求められています。2025年版フォーブス・トラベルガイドでは、日本の13軒が5つ星を獲得し、ウェルネスとともに本物志向がトレンドとして浮上しました。

伝統建築を活かしたデザインや地元職人とのコラボイベント、里山や漁村を舞台にしたプログラムなど、ホテルならではのストーリー性を打ち出す動きが一段と加速しています。

2025年のホテル市場の課題

最後に、業界が直面する主要課題を整理し、今後の対応策検討に活かせるポイントをまとめます。

人手不足の深刻化

宿泊業の雇用者数は2023年時点で2019年比約90%にとどまり、延べ宿泊者数が回復基調にある中で一人当たりの業務負荷が急増しています。特にフロント業務や客室清掃、飲食サービス現場で人手不足が顕在化し、サービス品質の維持・向上や稼働率改善の大きな障害となっています。

加えて、採用競争の激化や若年層の入職意欲低下も深刻化しており、長期的な人材確保策の構築が急務です。

新規ホテル開業数の減少と建築費高騰

建築資材価格や施工人件費の高騰、そして人手不足が重なり、2025年以降の新規ホテル開業予定数は大幅に減少する見通しです。東京・大阪・京都などの主要観光地では開発案件が抑制される一方、既存ホテルの稼働率上昇を背景にADR(平均客室単価)や資産価値の向上が期待されています。

しかし、開業延期や中止のリスクも高まり、投資判断に一層の慎重さが求められています。

DX化の遅れと推進

IPAによると、宿泊業・飲食サービス業におけるDXの取り組み状況は約16%にとどまり、他業界と比べて大きく遅れています。主な原因はIT人材不足や中小規模ホテルの投資余力不足、そして伝統的な運営モデルの根強さです。

今後は、非接触チェックイン/チェックアウト、AIコンシェルジュの導入、RPAを活用した業務効率化など、限られたリソースの中で効果的にDXを推進する枠組みの構築が一層求められます。

こうした市場課題を踏まえ、特に人手不足や建築費高騰への対応策として近年注目を集めているのが、『コンパクトホテル』への投資です。限られたスペースと人員で高い収益性を実現するコンパクトホテルのビジネスモデルもチェックしておきましょう。

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