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宿泊税は、東京の魅力を高め、観光振興のために使用される目的税の事です。東京都内に所在するホテルまたは旅館に宿泊する人は支払う義務があります。
東京をはじめとした観光都市では、ごみ処理費や道路清掃といった公共サービスが観光客のために使われることも少なくありません。そのため住民への公共サービスの低下を防ぐために、観光客が宿泊税としてその一部を負担してもらいます。
現在の東京都の宿泊税は、宿泊料金が1人1泊1万円以上1万5千円未満の宿泊については100円。1万5千円以上の宿泊については200円の税率で課税されています。なお1万円未満の宿泊については課税が免除されています。
東京都は、宿泊税を創設した平成14年度から令和3年度までの間に合計で約273億円の税収がありました。また東日本大震災が起きた平成23年の一時期を除き、毎年10億円を超える税収を安定的に確保。訪日外国人観光客の増加を受けて右肩上がりで増収となっていました。しかし、令和2年度及び令和3年度は、課税停止や新型コロナウイルス感染症の影響により税収が落ち込みました。
旅行需要が高まるなか、観光振興にかかる都の費用は毎年増加しており、2023年度は2002年度の14倍増の260億円を超えました。この財源は、住民税等の地方税から賄われており、支出が増えるほど住民サービスの低下や財政逼迫にも繋がります。そのため現在の宿泊税(毎年平均10数億円)ではその補填が出来ないとされており、宿泊税の増額や非課税の廃止など本格的な見直しが議論されています。
今後、宿泊税については観光振興費用と宿泊税収の乖離が拡大していることや、外資系高級ホテルといった高単価な宿泊施設が増えていること、他の自治体において宿泊税の導入が進んでいることから、宿泊費用に比例して相応の負担を求めてもよいのではないか。との意見も出ています。また、現在はホテル・旅館に限られていますが、公平性の観点から民泊、簡易宿所についても課税対象とすることが考えられています。さらに、1人1泊1万円未満の料金での宿泊者も、都の施策の恩恵を受けていることから、課税対象に加えてもよいのではないかとされていますが、そもそも宿泊税が観光産業振興財源であることから、修学旅行生やビジネス客を考慮し設けられた課税免除の基準(1人1泊1万円未満の宿泊)は維持すべきではないか。との反対意見も出てきています。いずれにしても、宿泊税を増額するにあたり、宿泊税の使途を分かりやすく示して、利用者の理解を深めていく必要があります。