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日常的にSNSを見る人は多く、そこから得た情報をもとに何かを購入したり、外出先を決めることがほとんどです。SNSを普段見ない人でも、どこかに行こうと考えたときには、インターネットでそのエリアを検索したり、気になるホテルや旅館の公式SNSを隅々まで調べたりすることは、今の時代において極めて一般的な行動パターンであると言えます。
また、SNSは広告費として0円から始められる、写真や動画などを使用し視覚的に伝えやすいなどの強みがあります。
SNSマーケティングとは、ホテルがSNSを用いて消費者とコミュニケーションをとりながらファンを獲得し、売上の向上やイメージアップなどを図る方法です。具体的に5つの方法があります。それぞれについて解説していきます。
SNSに投稿された自社に対する口コミなど、消費者の声を収集・分析してマーケティングに活用する手法です。企業主体のアンケートとは異なり、消費者の自由で率直な意見を得ることが出来るのが特徴です。ソーシャルリスニングでの情報を基に、自社ブランドやサービスの改善、消費者のニーズ把握が可能なので、ただ情報を収集するだけではなく、すべてのSNSマーケティングの基礎となるものです。
自社の公式アカウントを作成・運用し、様々な情報を不特定多数の消費者に発信していく方法です。多くのSNSは0円から運用を始められるので、コストを抑えた運用も可能となるでしょう。
また、一般的な広告と違い、消費者とコミュニケーションを取りやすいという特徴もあります。広告費を抑えながら消費者との接点も増やせるため、企業イメージや認知度向上にも優れ、ファン獲得にも一役買ってくれるでしょう。
SNS上で広告を配信し、自社を広く宣伝する方法です。通常の投稿と同じような流れで広告を差し込むことが出来るので、ユーザーに違和感なく見てもらえるのも特徴です。
また、ターゲット層(年齢、性別、仕事、趣味、興味関心など)をあらかじめ登録することで、目的とするターゲットへ精度良く情報を届けることが可能です。配信時間や予算も細かく設定が出来るため、通常の広告よりも予算を抑えて始めることも出来ます。
SNSキャンペーンは、SNSを利用して消費者参加型の企画を行い、フォロワー数を増やし企業の認知度を高める方法です。新規顧客獲得だけでなく、既存顧客の満足度向上のためにも必要なものとなっています。
SNS上で影響力の高いインフルエンサーやYouTuberに、自社のPRをしてもらう方法です。ホテルでいうと宿泊してもらい部屋や館内を紹介するなど、情報を発信してもらいます。人気のインスタグラマーやYouTuberになると、数百万人という大人数に対し一気に発信をすることが出来ます。また、彼らは消費者に刺さりやすい情報発信方法を熟知しているので、効果の高いPRが出来ます。
広告・宣伝の方法はたくさんありますが、その中でホテルがSNSマーケティングを活用するメリットは3つあります。それぞれについて解説していきます。
SNSの最大の特徴は、写真や動画を用いてPRできるという点です。いくら素晴らしいものでも、文章ではなかなか伝わらないものもあります。“百聞は一見にしかず”と言いますが、写真や動画で視覚的に消費者に魅力を発信することが出来ます。また、投稿数に上限はないため、その場にいるかのようなイメージを刷り込めるよう様々な角度からの投稿が可能となります。
代表的なSNSは、運用を行うのに費用は掛かりません(有料広告は除く)。そのためコストをかけることなく、自社の宣伝に使用することが可能です。コストがかからないため、試行錯誤を繰り返しながら自社にあった宣伝方法を探せるのもメリットの1つです。
通常の広告や宣伝は、企業側からの一方的な発信となりますが、SNSでは消費者と直につながることが出来、アンケートを取ったり口コミや質問に対して直接返信出来るなど、双方向のコミュニケーションが可能となります。消費者の関心がどこにあるのかなど、率直な意見を正確に知ることも出来ます。
SNSは多数あり、利用層はそれぞれ異なっています。自社のターゲットを設定したら、そのターゲット層が多く利用しているSNSを選び運用しましょう。ここでは、各SNSのユーザー動向を紹介します。
※参照元:Gaiax(https://gaiax-socialmedialab.jp/socialmedia/435)
SNSマーケティングを行う上で注意すべき点が5つあります。これらを意識しながらマーケティングを行うことで、効果は十分発揮されるでしょう。各項目について解説していきます。
ホテルの利用客層を今までのデータから分析し、自社ホテルはどのようなターゲット層に利用されているかを明確にすることが大切です。ホテルとしては「ファミリー向けホテル」として営業を行なっていたとしても、実際はロケーションや価格帯からビジネスでの利用者が多かったといったケースもあります。これまでの認識を一度頭から話して、数字を分析しターゲット層を絞り込みましょう。
ターゲットに対して写真投稿や動画投稿をする際には、それらが美しくて魅力的であることはもちろん、ターゲット層に刺さるものでなければいけません。写真や動画は必要に応じて文字を入れたりするなど加工して、より魅力の伝わるよう工夫が大切です。
新規フォロワー獲得や既存のフォロワーが継続的にフォローしてくれるためには、投稿頻度が重要なポイントです。週に1度ではなく、週に2度3度と頻度を上げて投稿することで、ユーザーを飽きさせることなく運用が出来ます。毎日の投稿が理想ですが、それも中々難しいです。先々1ヶ月分の投稿を月初にまとめて作成しておき、投稿するタイミングをあらかじめ予約設定しておけば、作業効率の向上につながります。
コンテンツの質が上がればエンゲージメント率が高くなります。エンゲージメント率とは、SNSで発信した写真などに対して、ユーザーが何かしらの反応(コメント・いいね・シェアなど)を示す割合のことです。
エンゲージメント率の計算式は『エンゲージメント率=(いいね!合計 + コメント合計)÷ 投稿数 ÷ フォロワー数』で表されます。エンゲージメントとは、ユーザーがホテルに対してどれだけの関心や興味を持っているかを示しているので、この数値を上げることが重要です。
SNSの更新頻度もそうですが、ユーザーからのリアクションに対してなるべく早く返信やリアクションを行うことも大切です。そうすれば、ユーザーはホテルや企業に対し自分のリアクションが見てもらえていると思うようになり、そこにはつながりが発生します。ユーザーと直接的なつながりを持てるのはSNSの大きなメリットです。どのようなリアクションであっても、一言メッセージを送るなどすると印象UPとなります。
国内のホテル・旅館においてSNSマーケティングを活用しているところは多くあります。各ホテル・旅館がどのような取り組みをして顧客獲得をしているのか事例を紹介します。
ホテル椿山荘東京のInstagramのSNSアカウントは、ホテルのフェアやブライダルの情報の他に、椿山荘の庭園で観れる四季折々の草花や情景の写真を発信しています。花の名前やホタル観賞などに関してユーザーから質問が来るのも特徴です。
スーパーホテルでは、「今日は何の日?」というテーマで、全国のホテルの中から紹介するホテルを選んでいます。例えば、テーマパークの開業が間近に迫れば、その近隣ホテルを紹介。「シジミの日」には、シジミの生産地として有名な松江市のホテルを紹介しています。投稿ネタがなくならないよう工夫しています。
日本にいながら地中海沿岸の雰囲気が味わえるホテルです。その景色の美しさや異国情緒溢れる雰囲気の写真を投稿し、顧客獲得を狙っています。また、自社関連の口コミやアクションをしたユーザーのツイートには「いいね」をつけ、ユーザーとのコミュニケーションを積極的に行っています。
京王プラザホテルでは、美しく美味しそうな食事写真やスイーツビュッフェの情報を多く投稿しています。華やかなスイーツビュッフェの写真は、宿泊しないユーザー(特に女性客)の目に触れ、新しい層の顧客獲得に繋がりました。
銀山温泉は大正ロマンを感じられるノスタルジックな雰囲気が大人気です。ユーザーが撮影した写真を使用し、ユーザー目線での風景や雰囲気などを届けることをしています。自分の写真が使用される可能性があるということは、宿泊時以外でもファン獲得の機会となります。
TikTokでスタッフが踊る動画投稿を行い、フォロワーの増加に成功しました。TikTokユーザーの多くが若年層であることに着目し、旅館に訪問したユーザーが動画投稿出来るよう専用のパネルを館内に用意しています。