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帝国バンクが、ホテル・旅館業の約100社を対象に調査した結果、人手不足だと答えた企業の割合は2022年後半から急激に増加しました。2023年4月の調査で、正社員で75.5%、契約社員・パート・派遣などの非正規社員で78.0%となり、状況は深刻化しています。
ホテルや旅館業は、コロナ禍の需要減で従業員を減らしてきました。そのため、従来よりも従業員数が少なくなっています。現在は、全国旅行支援や水際対策撤廃で観光客が戻ってきましたが、急激な需要増に人手の確保が追いついていません。
ホテル・旅館業は人手確保のため積極的な採用活動を行っていますが、どの業種においても人手不足は顕著で従来と同じ賃金や待遇で人材を確保するのはもはや困難になっています。特にサービス業は低賃金・長時間労働というイメージがついているので、その部分を改善させていかなければ新たな人材の確保は難しいでしょう。人手不足に陥っているホテルや旅館は予約や客室稼働を抑制し、営業の制限を余儀なくされていることも多々あります。
佐賀県の嬉野温泉で創業100年を迎える老舗旅館「大正屋」。大正屋グループが経営している宿泊施設「椎葉山荘」では、これまでにないユニークな取り組みを行っています。「椎葉山荘」では従業員の福利厚生のため、10日間休業し30人いる従業員全員に長期休暇を取らせました。休館しているこの期間はメンテナンス期間とし、普段は行えない修繕等に充てています。大正屋グループでは数店舗の旅館を運営しているため、時期をずらして旅館を1店舗ずつ休館にすることで、グループ全体としては営業を休むことなく、従業員全員に10連休を取得させました。
日本旅行業界(JATA)は、「観光産業共通プラットフォーム」について、2023年7月1日に宿泊施設に対する災害時情報集約訓練を実施しました。このプラットフォームは、加盟している宿泊施設が基本情報や営業情報、災害情報を一元的に登録し、旅行会社が各情報を検索・取得できるものです。基本情報は施設名から部屋タイプ、アクセス、最寄りの病院・警察署など約1000項目。営業情報は、一部客室の改装、大浴場のメンテナンス、実施中のキャンペーンなど各種情報となります。