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設備の損壊や集団感染、食中毒、自然災害など、常にホテル事業にはリスクがつきまとうもの。これらのリスクへ保険で備えることは、ホテル事業における重要な経営戦略です。
当ページでは、ホテル業が直面する主なリスク、ホテル業が加入したい主な保険の種類や補償範囲などについて解説します。
客室や浴場、階段などで宿泊客が転倒して負傷するリスクです。
安全基準を満たした設備管理や日常的な点検等を怠った場合、これら事故・怪我の発生が原因となり、損害賠償はもとより事業の信頼低下につながりかねません。
ホテル内のレストラン・宴会場などで食事を提供した際、食中毒や異物混入などで宿泊客に損害を与えるリスクです。
調理や保管、提供プロセスの衛生管理が不十分な場合、集団感染だけではなく、風評被害に繋がる恐れもあります。
宿泊客から荷物等を預かり、保管中に紛失・損傷などが発生した際、受託物責任を問われるリスクです。
リスク回避のためには、荷物等の管理ルールの明確化や従業員への教育が必要です。
火災や地震、洪水などの災害が発生した際、ホテルの建物や設備に被害が生じるリスクです。
修繕や営業停止などの経営的損害に加えるだけではなく、場合によっては宿泊客の身体に損害が発生する場合もあります。
従業員の不注意による事故やSNSにおける不適切な発言などにより、ホテル全体の信頼に傷がつくリスクです。
改めて労務管理や教育体制を見直し、使用者責任を果たせる体制づくりを目指さなければなりません。
旅館賠償責任保険とは、ホテル経営における多様なリスクを包括的に補償する保険。飲食物や設備の欠陥からくる損害を補償するPL保険、階段や床の滑落事故など施設不備からくる損害を補償する施設賠償責任保険、預かった荷物の紛失・損傷などの損害を補償する受託物賠償責任保険など、異なる複数の補償をパッケージ化した保険が、旅館賠償責任保険です。
それぞれの保険は個別でも契約できますが、パッケージ化されていることで補償の漏れを防いだり手続きを簡略化させたりできる点がメリット。契約更新も含めて一元管理できるため、経営管理の効率化につながるでしょう。 万一の事故発生時には、弁護士費用や見舞金なども補償対象となる場合があります。
旅館宿泊者賠償責任保険とは、宿泊客がホテル滞在中に起こしたトラブルによる損害を補償する保険。たとえば、宿泊客が室内設備を破損してしまったり、水漏れを起こして他の客室に損害を与えてしまったりした際、ホテル側は一時的に損害費用を自己負担するケースがありますが、これらのケースで損害費用を補う保険が、旅館宿泊者賠償責任保険です。
トラブルに起因して他の宿泊客に被害が生じたとしても、旅館宿泊者賠償責任保険に加入していれば、示談交渉や修繕手配がスムーズ。迅速な対応でクレームも抑えられる可能性があることから、口コミ等での評判低下を防ぐ効果も期待できます。
火災保険・地震保険とは、火災や落雷、風水害、地震、津波、噴火などによる建物の被害を補償する保険。火災・自然災害により建物自体に生じた損害はもちろん、客室や家具、什器、厨房機器など、建物に関連する様々な財物の損害も補償する保険が、火災保険・地震保険です。
休業補償特約を付帯させれば、損害による営業停止中の収益減少や仮店舗施設の運営費なども補償範囲に入れることができます。
ホテルの建物や設備は、単なる資産ではありません。重要な事業基盤です。事業基盤を守るため、火災保険と地震保険は加入必須の保険と考えるべきでしょう。
他の事業と同様、ホテル経営にも様々なリスクがあります。それらリスクが現実のものにならないことが理想ですが、リスクをゼロにすることは不可能です。
不可能である以上、ホテル経営において保険への加入は必須。旅館賠償責任保険や旅館宿泊者賠償責任保険、火災保険・地震保険などの内容をよく確認し、自社ホテルの規模やコストなども考慮しながら、適切な保険に加入しましょう。
ホテル経営において保険料を「支出」と捉えるのは、正しい理解ではありません。保険料は持続的なホテル経営を支え続けるための「未来への投資」です。経営戦略の一種ととらえ、積極的に保険を検討していく姿勢が望まれます。