公開日: |更新日:
2025年は全体的に60%前後のホテル稼働率を維持しており、時期や地域によっては稼働率80%超というケースもありました。一方、外国人観光客の増減や地域差など、ホテル業界の稼働率に影響した要素も少なくありません。
観光庁の発表している統計資料によれば、2025年のホテル稼働率は全体的に60%前後となっており、2025年12月の「宿泊施設タイプ別客室稼働率(2026年2月6日参照)」を参照すると、全体の稼働率は「59.1%」で、特にビジネスホテル「73.3%」やシティホテル「73.5%」といった都市型ホテルで高い稼働率を達成していたことが分かります。
一方、旅館では「35.1%」、簡易宿所では「24.0%」といったように、地方の旅館や宿泊施設などにおいてホテルと比べて明確な稼働率差が生じていたことも重要です。
また、2025年11月の客室稼働率と比較すると、11月の客室稼働率は「65.7%」となっており、12月に入ったことで全体的にやや下がったということもポイントです。
2025年12月におけるホテルの客室稼働率そのものは、年平均と比較して下がっていた傾向があるものの、客室平均単価(ADR)や、1室あたりの収益額(RevPAR)に関してはむしろ上昇していたという点は無視できません。
ホテル経営や投資において最終的に利益や利回りに直結するものは、客室の稼働率よりも収益性です。極端な話をすれば、客室稼働率が半減したとしても、RevPARが2倍になれば、収益率としての減少は補填できるということになります。
ホテル業界のADRやRevPARは物価高騰や円安の影響などを受けて高まっており、むしろ高単価で宿泊してくれる利用者が増えているという状況は、ホテル投資を考える上で重要な検討材料になるでしょう。
ホテル業界においてADRやRevPARが上昇した理由として、複数の事情が考えられます。
日本国内では物価高騰や実質賃金の減少などで日本人旅行客の伸び悩みといった課題が懸念されている反面、円安による影響もあり、海外からの外国人観光客(インバウンド消費)が多くなっていることは重要です。
特に、海外から海を渡って日本へ訪れた外国人観光客の中には、せっかくの旅行だからと積極的に観光地などでお金を落とす人も多く、物価高による価格改定でホテルの宿泊費や観光地での各種料金が高くなったとしても積極的に消費してくれる可能性があります。
また国家間の問題などによって特定国からの旅行者が減ったとしても、全世界的に見れば外国人観光客の減少率は抑えられていることもポイントです。
最低賃金の上昇や円安による物価高騰といった社会情勢の変化により、ホテル業界を含めて全国の様々な業種業態で従来の価格帯での経営が困難になりつつある現状もポイントです。また、法改正によって下請け業者への不当な低価格の押しつけが一層に規制されたこともあり、従来は値上げを控えていた企業やサービスでも料金の値上げに踏み切るケースが増え、日本全国で価格上昇への流れが生まれました。
このため、ホテルの宿泊費に関しても1室あたりの料金は値上がりを続けており、外国人観光客などのインバウンド消費だけでなく、出張などビジネスで宿泊施設を利用しなければならない企業も経費の増大を受け入れているという点は重要です。
物価高騰により宿泊費など各種料金が上昇している一方、同じく物価高騰によってホテルなどの建築コストも増大しており、なかなか新規の事業者が参入しにくくなっていることも見逃せません。
新規参入が容易な状況であれば、値上げしたホテルよりも安くて新しいホテルへ泊まろうという流れが生まれやすくなりますが、そもそも既存のホテルしか選択肢がなく、さらに全国のホテルの平均単価が上がっている状況では、消費者も価格高騰を受け入れざるを得ないという事情があります。
ホテル経営やホテル投資において、最重要の課題は利益を守ることであり、それは客室稼働率をキープすることよりも、ADRやRevPARをどれだけ維持できるかという点が大切であるということです。
値下げや低価格帯のサービスを提供することで客室稼働率を増やせたとしても、トータルの売上が減少してしまえば、必然的に投資の利回りは低下します。
2026年のホテル経営では、稼働率の上下に一喜一憂するのでなく、高品質なサービス提供と顧客満足度の上昇を踏まえて単価を守ることを意識しましょう。