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ホテル経営の安定に向けた第一歩として、ホテルの収益構造を把握する必要があります。ターゲット層にマッチした各種のサービスを用意すれば、客単価のアップにもつながるからです。 当ページでは、ホテルの収益の仕組みや利益率を高める考え方などについて解説しています。
一般にビジネスの収益構造は、大きく「変動費型」と「固定費型」の2種類に分かれます。
変動費型とは、販売量やサービスの提供量などに応じてコストが上下しやすいタイプ。小売業や飲食業は変動費型の典型的な例です。
一方で固定費型とは、人件費や設備維持費などの固定費の比率が高いタイプ。ホテルが固定費型の典型で、稼働率の変動が利益を上下する「固定費主導型」ハイリターンモデルと言うこともできます。
固定費型のホテル経営は、稼働率が高まれば高まるほど収益が上がる大変魅力的な業態。ただし、逆に稼働率が下がれば容易に赤字へ転落するリスクもある悩ましい業態でもあります。 ホテル投資を検討する際には、この固定費型という業態の特徴を踏まえた経営戦略の策定が求められます。
言うまでもなく、ホテルの売上を構成する中心的な要素が、利用客の宿泊売上。客室単価(ADR)と稼働率の掛け合わせが、ホテル経営の基盤を形成します。
立地やシーズン、ブランド力などにより客室単価は変動。オンライン予約サイトや直販チャネルなど、予約の入口となる構成も売上に影響します。 適切な料金設定のためには、ターゲット層に合わせた客室タイプの最適化が欠かせません。
客室売上とは異なる主要収益源となる部門が、飲食・レストラン・バー。宿泊客だけではなく、近隣住民の方やビジネス利用の方の需要も期待できる部門です。
近年は特に食材費や人件費の負担が上がりつつあるため、利益率はやや低めとなるものの、提供する料理やドリンクの質、空間演出などがホテル全体の満足度向上に寄与することは間違いないでしょう。
宴会場や会議室を活用した法人向けサービスも、ホテルの売上を構成する大事な要素。レイアウトを多少変更するだけで、結婚式や展示会などでの収益も期待できます。宿泊と飲食をセットにすることで客単価増を狙える点も、これらサービスの魅力と言えるでしょう。
ただし、宴会や結婚式などは、景気や季節要因での利用の変動が大きいことも事実。企業との継続計画に向けた地道な営業活動を並行するべきでしょう。
滞在価値を高める差別化要素として、スパや温浴施設の併設も有効。宿泊客の満足度を高めるだけでなく、外来客の利用による追加収益も見込めます。人件費や施設維持費などのコストは増えるものの、リピーター育成やブランド価値向上には一定の成果をもたらすことでしょう。
健康志向や美容需要の高まりに合わせ、施設を利用したウェルネスプログラムやコラボ企画の展開も有効です。
会議室や駐車場など、ホテルが持つ施設の貸し出しも有効な収益源となります。具体的な戦略としては、会議室の時間貸しや駐車場の時間課金、撮影・展示などの貸し出しです。
安定的なキャッシュフローを生み出すためには、地域連携やオンライン予約などの工夫が求められるでしょう。
館内での小売や物販は、安定的なホテル収益につながる基本的な戦略。とりわけ旅行客は財布の紐が緩みがちになるため、フロント近くなどの目立つ場所に館内ショップを設ける戦略は大変有効です。
購買体験の充実は宿泊満足度を高めるため、以後、リピーター化や紹介へとつながる可能性も生まれるでしょう。 自社運営ではなく、他社にテナントとして貸し出す方法も有効です。
宿泊者に対する付加サービスも、リピーター化や紹介につながりやすい有効な戦略。たとえば、朝食付きプランやレイトチェックアウト、送迎サービス、アメニティ強化などです。
決してコストを強く圧迫するサービスではないため、コストパフォーマンスは良好。今後は、顧客データに基づいたパーソナライズ提案も、アップセル拡大に貢献するでしょう。
客室あたりの定員やベッド数を最適化することは、利益率を高める基本施策の一つ。ターゲット層や需要などを考慮し、改めて客室の定員やベッド数を再検討すれば、今より利益率が向上する可能性もあります。
追加ベッドの配置やレイアウト変更のみで完結するため、コストをかけた大がかりなリフォームは必要ありません。
ホテルは典型的な固定費型ビジネスだからこそ、稼働率を上げることこそ経営の根幹。そのためには、シーズン需要に応じた価格調整や長期滞在プランの導入、OTA(オンライン旅行代理店)の活用、法人営業を通じた安定需要の確保などが有効な戦略になるでしょう。
宿泊以外の分野で収益機会を広げることも効果的です。
たとえばスパやカフェ、物販、イベント会場の運営などを組み合わせれば、多少なりとも稼働率の影響を相殺できるため、その分だけ安定収益の確保につながるでしょう。 並行して朝食プランや送迎サービスなど付加サービスも充実させるなどし、本業である宿泊業のアップセルにもつなげていきましょう。