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みなし仮設住宅としてのホテル活用

災害で住まいを失った被災者に、行政が民間の賃貸住宅を借り上げて提供する「みなし仮設住宅」への注目が高まっています。制度の仕組みを整理したうえで、みなし仮設としてホテルを活用する可能性と、運用上の課題を解説します。

みなし仮設住宅(賃貸型応急住宅)とは

建設型仮設住宅との違い

みなし仮設住宅は災害救助法に基づく応急仮設住宅のひとつで、制度上は「賃貸型応急住宅」と呼ばれます。民間の賃貸住宅などを国・自治体が借り上げ、被災者へ無償提供する仕組みです。

プレハブを新たに建てる建設型と違い、既存の住宅ストックを使うため工期がかからず、迅速かつ大量に供給できます。費用も、建設型が1戸あたり平均7,259,000円以内という国の基準に対し、賃貸型は家賃・敷金・礼金などの実費が基準です。設備が整った住宅にそのまま入居でき、住環境も整いやすいとされています。

入居条件・期間・費用の目安

対象は、住家が全壊・全焼・流失するなどして、自らの資力では住宅を確保できない方です。供与期間は原則2年で、激甚災害などでは1年ごとに延長される場合があります。

家賃は公費負担が一般的で、令和8年熊本地震の熊本市の例では単身で月5万5千円以内、5人以上世帯で月13万円以内という上限が設けられました。敷金・礼金・仲介手数料も市が負担する一方、光熱水費や駐車場料金は入居者負担です。条件は災害や自治体ごとに異なるため、実際の運用は募集要領での確認が必要です。

ホテルはみなし仮設住宅として活用できるのか

これまでの活用例(災害時・感染症対応でのホテル借り上げ)

ホテル・旅館の借り上げは、これまで主に「避難所」としての活用が中心でした。内閣府は「災害時においてホテル・旅館等を避難所として活用する際のガイドライン」を示しており、令和6年能登半島地震や令和8年熊本地震でも、県が確保した宿泊施設へ被災者が移る二次避難が実施されています。新型コロナウイルス対応では、都道府県がホテルを宿泊療養施設として借り上げた例もありました。

一方、ホテルを賃貸型応急住宅(みなし仮設住宅)そのものとして扱えるかは制度運用上の整理が必要で、自治体の判断によります。

ホテル活用のメリットと留意点

ホテルは客室単位でまとまった戸数を即時に確保でき、空調・浴室・寝具がそろっているため生活環境を短期間で整えられます。一方で1室あたりの費用は賃貸住宅より高くなりやすく、長期滞在では自炊や洗濯が難しい、観光需要と競合して繁忙期は確保しづらいといった留意点もあります。避難所扱いか住宅扱いかで費用の枠組みが変わる点も、事前に整理しておきたいところです。

みなし仮設・ホテル活用の課題

被災者が分散しコミュニティ維持が難しい

みなし仮設は物件ごとに入居先が分かれるため、入居者が一か所に集まる建設型と比べて被災者が広域に分散します。これまでの近所付き合いが失われ、「寂しい」「生活に張り合いがない」と感じる人も多いとされ、農漁村部から都市部へ移った高齢者が体調を崩す例も指摘されています。

見守り・支援情報が届きにくい/供給地域の偏り

入居後の連絡や見守りが難しく、行政が状況を把握しづらい点も課題です。賃貸物件が少ない町村ではみなし仮設になり得る住宅自体が乏しく、被災者が物件を求めて都市部へ移らざるを得ない供給の偏りも生じます。みなし仮設の割合は東日本大震災の宮城県53.2%から熊本地震77.6%、西日本豪雨の岡山県91.2%へと高まっており、課題の影響も広がっています。

課題を補う新しい選択肢「コンテナホテル(レスキューホテル)」

分散やコミュニティの分断という課題に対し、被災地の近くにまとまった客室を短期間で展開できる「コンテナホテル(レスキューホテル)」が補完的な選択肢になり得ます。

株式会社デベロップのレスキューホテルは13㎡のコンテナ1台が1客室で、ユニットバスやベッドを備えた状態で設置でき、同じ場所に複数戸をまとめて配置しやすい構造です。平時はビジネスホテルとして営業して収益を生み、災害時には被災者受け入れへ転用する「フェーズフリー」型の運用で、同社はフェーズフリー認証を取得しています。令和8年9月時点で全国141拠点・5,615客室を配備し、201件の災害協定を締結。みなし仮設や避難所と組み合わせる前提で、平時から検討しておきたい仕組みです。

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